浄水場におけるろ過池更生工事とは

安全な水道水を造るための心臓部であるろ材は、長期の使用により徐々に汚染が進行します。また、ろ過砂利は度重なる洗浄により、表面が不均一となる【不陸】の状態となります。ろ材の汚染やろ過砂利の不陸が原因となって、水道水質が悪化することを未然に防ぐために行う工事は【ろ過池更生工事】と称され、多くの浄水場で実施されております。ろ過池更生工事では、①ろ材の洗浄、粒度調整、敷き直し、②ろ過砂利の洗浄、敷き直し、③下部集水部の修繕、④ろ過池側壁の塗装・補修が行われます。

サンドリバースシステム®式ろ材更生工事【Sand Rebirth System（SRS）】

ろ材の洗浄･粒度調整

ろ材に関する汚染物質は、SSや濁度に代表される【付着物】とマンガンやアルミニウムに代表される【凝集物】に大別されます。このうち【付着物】は比較的軽度なろ材洗浄で除去できますが、化学的作用によりろ材に被膜している【凝着物】は除去が困難です。そこでろ材そのものを破壊することなく、【凝着物】をろ材から良好に剥離させることを可能としたろ材洗浄装置【サンドアクター®】を独自に考案しました。そしてろ材の仕上げすすぎとともに粒度調整（有効径・均等係数の調整）を行うトータル更生工事システムを【サンドリバースシステム®】と命名し、連続処理にて効率よく工事を行います。
この工法により新ろ材を使用するよりも経費を抑えることができるだけでなく、天然資源の有効利用により環境負荷が軽減され、ISO14000シリーズを認証取得されているお客様のニーズにお応えいたします。

特長

ろ材洗浄装置【サンドアクター®（PAT.Pend）】の基本原理

サンドアクター®内部の2本の軸に取り付けられた特殊形状の洗浄羽根と移送羽根が回転する事によって、砂を擦り合わすと同時に排出側へ搬送します。汚染ろ材に付着・凝着した各種の汚れは、サンドアクター®内にて米を磨ぐように砂同士がもみ合わされる事により、ろ過砂そのものを破砕せずに効率よく剥離されます。この作用により従来工法では不可能だった頑固な凝着物除去を連続式で高速に処理することを可能としました。

サンドリバースシステム®式ろ材更生工事の流れ

1 施工前ろ層調査
ろ材劣化度分析やろ層厚計測、不陸調査を実施し、ろ材・ろ過層の状態を把握します。 ※詳しい内容については、ろ層調査 をご覧ください。
2.更生工事
■ろ材搬出 ろ過池内からろ材を搬出します。現場状況や目的により、強力吸引車、ジェットエゼクター、ベルトコンベアー等にて搬出します。当社では熟練作業員が丁寧に作業を行ないますので、ろ層厚調査では掌握できない異常個所などの発見にもつながります。
■ろ材洗浄およびふるい分け サンドリバースシステム®にてご希望の値まで洗浄します。またご希望が有れば粒度調整を行ないます。排水の受入に制限がある場合は、排水処理プラントを組み合わせて使用します。
■ろ過池内清掃･補修 ろ過池内の壁面、集水部、圧力室内等の清掃、補修や塗装を行ないます。 ※ろ材を全量搬出したときにだけ見る事ができる集水部等の補修は、更生工事の機会に併せて行うことをおすすめいたします。 ※当社では熟練特殊作業員が補修の必要な個所を適切に施工いたします。
■ろ材充填敷き均し 設計値に沿ってクレーンやジェット水流送、ベルトコンベアー等にて熟練作業員が丁寧に充填敷き均しを行ないます。 ※この作業は、特に専門性が必要で、砂利層は各層厚が薄いため丁寧に作業する事が重要です。
3.施工後調査
施工後のろ材状況、ろ層厚状況を把握する為に施工前と同様に調査を行ないます。 ※この調査により施工前の状態と比較する事ができ、今後の運転管理に役立てる事ができます。

使用中ろ過砂における比較テスト結果

	洗浄濁度	塩酸可溶率	有効径	均等係数	備考
更生前ろ過砂 (汚砂)	800度	4.5%	0.62mm	1.33	–
従来式洗浄砂	100度	3.0%	0.62mm	1.38	処理量 2.5m3/h
サンドアクター®式洗浄砂	14度	2.1%	0.62mm	1.32	処理量 5m3/h